発車する横浜線を眺めながら、僕は品川行きの各停を待っていた。
ふと横を見ると、ちょっと大柄なお姉さんが仁王立ちになり、電話をしていた。
東アジア系の人だろうか。言葉もちょっと理解できなかった。
そのお姉さんはしばらくすると電話を切り、かばんからおもむろにハーゲンダッツ(カップ)を取り出し口にくわえると、ハンドバッグをまさぐりだした。
発車する京浜東北線を眺めながらふと横を見ると、そのお姉さんは本を読みながら、中蓋を口でくわえて開けようとしていた。下品な人だなーと思った。
そしてそろそろ来るかな〜と思いながらふと横を見たとき、僕は驚愕した。
中蓋が貼られたままなのにカップがぼこぼこに凹んでいるのだ。
なんとそのお姉さんは中蓋に歯で穴を開け、すこしずつ溶かしながら吸い出していたのだ。
あっけにとられている周りの人を尻目に、彼女はじゅるじゅると盛大に音を立てながら電車に乗り込んだ。
そしてすい終わると彼女はぼこぼこと音を立てながら、凹んだカップを膨らまして外蓋を閉じ、かばんに放り込んだ。
これがアジアンパワーかぁ…としみじみ思った。
勝てるわけねえべ。