レ・ブルーの末期(まつご)に寄せて

フランス語の先生は、「本当に、本当に困惑したんだ。」とずっと言っていた。



確かに英雄だった、これからもずっとそうであるべきだった筈の男を、フランス人達自身どう捉え直せばいいか分からないでいる。
監督のドミニクもアンリ達選手も、サポーターも全ての国民も。
メディアを通して伝わってくる彼らの焦燥感が他人事に思えない。



C'est fou!(イカれてる)とうわ言の様に繰り返す先生にMoi aussi,je crois qu'il est con!(ホントにバカだよねぇ)と言ったら
「違う!ホントにジダンは凄いんだ!凄いんだ、が…なぜ…なぜあんなことを」
と頭を抱えてしまった。
なんて声を掛けていいか分からない。


ホントにどうしてあんなことをしたんだろう?
僕にはジダンの怒りが、マテラッツィだけに向けられたものでは無いような気がしている。


もちろん直接の原因が彼の挑発に有るのは間違いないだろう。
だが同時に彼の怒りが、プラティニの時代からいつまでたっても“マエストロ”の存在におんぶにだっこ状態のフランス代表にも向けられていたとしたら…?


それはもちろん机上の空論だが、ジダンのためにと一致団結してファイナルまで勝ち進んだあげくの果ての、よもや裏切りではないかとすら思えるジダンの暴行劇が、結果として「ジダン離れと世代交代の必要性」をこれ以上ないほど強く意識させることになったということもまた事実なのである。


何れにせよ真相は闇のなか、稀代の英雄だった男と共に、ベンチ裏へと消えていった。
誰にも分かるまいが、きっとそれでいいのだろう。


………


ところで今イタリアではジダン仕込みの頭突きが大ブームらしいですが、僕ってば彼らと全く同レベルだわww


ドイツ好きの友達が「W杯を勝利で終えたのはドイツとイタリアだけだ!」って豪語してイタリアファンの友人とタッグを組もうとしていたが、


そんなこといったらW杯を頭突きで終えたのはフランスだけだきっと後にも先にも!