現世の蟲たち

諏訪通りの奉仕園の手前のカーブを曲がろうとするところにあるマンションと、その隣のアパートの間にある、庭のようなスペースに異変が起こったのはつい1週間ほど前だった。
一面にどくだみが生えて独特の臭気を放っていたのはまあ言ってみれば普通であったが、なんとそのどくだみが無残にも食い荒らされていたのだ。


僕は虫やら植物やらの観察がむかしから好きで、よく道端にしゃがみこんでは葉っぱをもそもそ食べる芋虫を眺めていたのだが、ドクダミを食べるものを見るのは初めてだ。
どんな輩だろうと思い近づこうとしたとき、足元にうごめく黒いかげが見えた。
びっくりして飛びのく(アレルギーが出るので毛虫に近づいてはいけない)とそれは毛が大層もさもさ生えた毛虫で、(彼らにしては)神速的なスピードでうにうに這って行った。
よく見ると葉っぱの裏にとてつもない数の毛虫がうごうごしているのが分かった。
吐き気を憶える人がいるかもしれないってレベルの大発生。


しかも、隣の白いマンションを見ると、ベランダの壁中に彼奴らが這い回っていた。
おそらくベランダの中、下手をすれば家の中にも入り込んでいるかもしれないといった状況。
道路に這い出て自転車や人の足に踏まれてぺったんこになる奴もあとを絶たない。
まさに地獄絵図という状況だった。


しかし彼らの栄華も長続きはしなかった。
それから程なくして、その庭のドクダミは全て刈り取られてしまった。
おそらくマンションの住民が被害届を出したのであろう。
さらに降ってわいた幸運を逃すまいとばかりに何匹かのヒキガエルが現れ、次から次へと毛虫たちをむさぼり食べていく。


とここまで冷静に眺めてる自分がすごいなぁと思った。
だって普通の人やったら飛びのくよアレは。
蟲ってやつはホントに何の前触れもなく存在感を主張するから怖い。
ギンコさんがいたらいい対処法を教えてくれるのかなぁ…